トミグレーンとミルク(MILK)という悪霊

トミグレーンとミルク(MILK)という悪霊

むかしむかし若い家族は住んでいたが、その家族には父親、母親、二人の子供たちがいました。子供むかしむかしあるところに、若いお父さんとお母さんと小さい二人の子供が住んでいました。十才の女の子の名前はベチベチク、七歳の男の子の名前はトミグラインと言いました。トミグラインはとても聞き分けのない子でした。「言うことを聞かないと、おばけのミルクが来るよ。」と、おばあさんはトミグラインに言いました。「ミルクなんていないさ。言うことなんて聞くもんか。」と、トミグラインは答えました。

トミグラインが同じぐらいの年の子供と遊ぶと、必ずけんかになりました。だから、同じぐらいの年の子供たちはトミグラインといっしょに遊ばなくなってしまいました。みんながお父さんやお母さんの仕事を手伝っているのに、トミグラインはいたずらばかりしていました。「トミグライン、薪を持って来て。」と、お母さんに言われても、「ぼくはいやだよ。ベチベチクに言ってよ。」と言って手伝おうとしませんでした。

ある日、トミグラインは川岸へ遊びに行って帰るのが遅くなってしまいました。石を蹴飛ばしながら歩いていました。すると、何か落ちているのに気がついて、近づいて行きました。足で蹴飛ばそうと思ったのです。でも、そこに座り込んでしまいました。手を伸ばすと、それは丸くて毛むくじゃらで、かすかに動いていたのです。その毛むくじゃらは、キイキイいっていました。トミグラインは、変な生き物だなあと思って身をかがめると、この変な生き物に口があることに気づきました。毛むくじゃらの生き物は軽く動くと、「これからお前が一度でもお母さんやお父さんの言うことを聞かなかったら、おれはお前がどこにいても探し出して、遠くに連れて行って、一生うちに帰れなくしてしまうぞ。そして、そこでお前は俺のような生き物になってしまうんだ。」という声が聞こえました。トミグラインは、怖くなって走ってうちに帰って、すぐにふとんの中に入りました。

次の朝早く起きると、トミグラインは黙って外へ出ました。そして、薪を割ったり、井戸へ水をくみに行ったり、お姉さんと仲良く遊んだりしました。お母さんもお父さんも、息子の変わりぶりにびっくりました。その日からトミグラインはすっかりいい息子になりました。トミグラインがお父さんとお母さんにおばけのミルクに会ったことついて話したのは、それから2か月も経ってからのことでした。