聞き分けのない三人の青年

聞き分けのない三人の青年

むかしむかし、ニヴフ人たちの村に三人の青年が住んでいました。三人は同じ小屋に住んでいました。三人にはお母さんとお父さんとお姉さんがいましたが、自分たちで土の小屋を建てて暮らしていました。自分たちがしたいことしかしないで、お母さんやお父さんやの言うことを聞こうともしないで、お母さんやお父さんを大事にしないで、お母さんやお父さんの助言を無視していました。お母さんやお父さんは、そんなことをしてはいけないよ、それは悪い事だよ、と何度も言いましたが、三人は全然言うことを聞きませんでした。狩りに出たり、魚を釣ったりしてばかりいました。魚を釣っても、生きたまま頭だけ取って骨まで食べてしまいます。ときどき、イトウが釣れることがありました。むかし、イトウは「トイ」という名前でしたが、ニヴフ人はイトウを「オイソ」と呼んでいました。ニヴフ人の村では、イトウを半分に切り分けることはとても悪いことだと考えられているのですが、そのことを知っていたにもかかわらず、三人のうちの一人が、ある日、ナイフを取って、笑いながらイトウを半分に切ってしまいました。すると、すぐに病気になってしまいました。それで、木のベッドに寝ていると、背中にこぶができてしまいました。年上の者はみんな「お前はイトウをどうしたのだ?悪いことだと言ったじゃないか。言うことを聞かなかったからこんなことになってしまったのさ。」と、彼に言いましたが、彼は黙っていました。

ある日、二人目の青年が丸木舟に乗ってアザラシをとりに行きました。とってきたアザラシは、けがをしていましたが、まだ生きていました。青年は生きたままそのアザラシを切り始めました。「まず殺してしまいなさい。そして、それから切り分けなさい。」と、お父さんは彼に言いました。でも、青年はナイフをとって、笑いながら切り分けてしまいました。1か月後、彼は眠れないほど腕が痛くなって、何もできなくなってしまいました。なんと右腕の骨が外へ突き出てしまったのです。「何度もお前に言っていたじゃないか。お前は何もかも言われた通りできないんだな。どうしてお前の腕がこんなふうになってしまったか分かったか。」と、おじいさんは言いました。青年は何も答えられなくて、黙っていました。

春になって、三人目の青年が森へ狩りに行きました。本当は切り分ける前にうちに持って帰らなければならなかったのですが、彼は仕留めた熊を、森の中で切り分けてしまいました。そして、必要な分だけ肉を持って帰ってきました。「お前、何だってそんなことをしたんだい。こりゃ大罪だわ。」と、おばあさんが言いました。でも、青年は笑って「何も悪いことはしていないよ。」と言いました。青年が仕留めた熊を森の中で切り分けて熊の肉を森に捨ててきたことをおじいさんが知って言いました。「わしらは大切な肉をそんなふうにはしないんだ。今に熊に懲らしめられるぞ。」

五日過ぎると、青年が言いました。「おれは今までと変わりなく元気さ。誰にも懲らしめられることなんてなかったよ。」でも、おじいさんは「熊の精をあざ笑ってはいけないぞ!」と答えました。一か月間ほど過ぎて、青年は頭や首やあごが痛いと言うようになりました。おじいさんは「おそらく熊の精のたたりだろう。」と言いました。本当にあごが歪んで、青年はうんうんと泣き出しました。長老たちが集まって話し合って、貢ぎ物をささげて、水と大地の精のたたりをおさめようとしました。しきたりに従って、二匹の犬を殺して、水の精に捧げました。黒い犬と赤毛の犬と白い犬を殺して、大地の精に捧げました。すると、青年たちの痛みはおさまりましたが、青年たちの背中のこぶや腕の骨やゆがんだあごは一生治ることはありませんでした。「お前たちがどうしてこうなったか分かったか。先祖を馬鹿にしてはいけないんだ。これからは、しきたりをきちんと守るんだぞ。」と、長老たちは青年たちに言いました。