火の精への捧げもの

火の精への捧げもの

むかしむかし、ある村に、若い家族が住んでいました。お父さんは魚をとったり狩りをしたりして、お母さんはうちの仕事をしながら、子供たちを育てていました。ある日、お父さんが魚を捕りに行ったので、お母さんはご飯を作りはじめました。火を起こしましたが、火はぜんぜん大きくなりません。何本か乾いた薪を投げ入れたり、息を吹いてみたりしましたが、火はぜんぜん大きくなりません。お母さんは怒ってしまいました。それで、火がついた薪を少し動かすために、ナイフで薪をさしました。

すると、突然、火の精が火から出てきて、「薪にナイフを刺すのは、俺にナイフを刺すことだぞ!」と、言いました。

お母さんはびっくりしました。すると、濃い煙がもくもく火から上ってきました。

と、そのとき、お父さんが魚つりから帰ってきました。火がぜんぜん大きくならなくて、ごはんがまだできていないのだとすぐにわかりました。お母さんは、火の精が出てきたのだと、お父さんに言いました。でも、お父さんは首を横に振りながら、家を出ていきました。

お父さんは、白いトナカイの子を仕留めて帰って来ました。そして、その血を火の精に捧げました。すると、火が大きくなりました。そして、トナカイの心臓も捧げました。すると、火がもっと大きくなりました。

「火の精に捧げものをしなければならないのだ。家族で誰かが病気にかかったら、トナカイの肉を火の精に捧げなければならないのだ。」と、お父さんは言いました。