シマリスの友達探し

シマリスの友達探し

みなさんも森に住む小さなシマリスを見たことがあるでしょう。背中に5本の黒い線があったことに気が付きましたか。まだ強くない太陽の光が木々の梢にかすかに触れる六月、朝早く起きると、シマリスの声を聞くことができます。ふつうシマリスは高いはんの木の上の枝の上で、ふさふさしたしっぽを背中の方に曲げて、小声でだれかを呼ぶのです。

「トゥット… トゥット… トゥット…(ここだよ…ここだよ…ここだよ)」

もし、あなたが嫌なことをしないとわかったら、シマリスは頭を下げて会釈して、下の枝に下りてきて、また言います。

「トゥット… トゥット… トゥット…(ここだよ…ここだよ…ここだよ)」

もし、あなたがシマリスを捕まえようとしたら、シマリスは大きな声を出して、しま模様の背中を向けて葉の茂みにすばやく身を隠してしまいます。辺りは静かな緊張が走り、森の動物や鳥たちはみんな、木の洞や地面の穴に隠れてしまいます。でも、あなたが通りすぎると、シマリスはまたすぐに前の枝に戻って、また誰かを呼び続けるのです。

「トゥット… トゥット… トゥット…(ここだよ…ここだよ…ここだよ)」

ある森に、ひとりぼっちのシマリスがすんでいました。黄色くてふさふさです。森の中でひとりぼっちになったら、誰でもたまらなく悲しいものです。シマリスも悲しかったです。でも、僕が悲しみに苦しんでいるなら、どこかに死ぬほど退屈している誰かがいるかもしれないと思いました。そうして、シマリスは友達を探しに森林へ出かけることにしました。シマリスは、木から木へ茂みから茂みへと飛び移り、倒れた木や朽ちた木の下をのぞいたり、木の洞や地面の穴の中をのぞき込んだりしました。

そして、ヤマイタチをみつけて、たずねました。

「ヤマイタチさん、ヤマイタチさん!あなたはひとりぼっちで退屈じゃありませんか。ぼくと友達になりませんか。」

「いや、シマリスくん、ぼくは退屈じゃないよ。でも、きみはきっと退屈で死んでしまうだろうね。だから、明日またぼくのところに来てよ。そうしたら、ぼくがきみを食べてあげるよ。」とヤマイタチは答えました。

シマリスは、なるほど死んで土の下で腐るよりヤマイタチに食べられてしまったほうがいいかもしれない、と思いました。

でも、明日までまだ時間があったので、シマリスは、また倒れた木や朽ちた木の下をのぞいたり、木の洞や地面の穴の中をのぞき込んだりしながら、木から木へ茂みから茂みへと、もっと遠くへ飛び移っていきました。

そして、キツネに会いました。

「キツネさん、キツネさん!あなたはひとりぼっちで退屈じゃありませんか。ぼくと友達になりませんか。」

「いいえ、シマリスくん、私は退屈じゃないわ。でも、あなたはきっと退屈で死んでしまうでしょうね。だから、明日また私のところに来るといいわ。そうしたら、私があなたを食べてあげるわ。」とキツネは答えました。

シマリスは、なるほど死んで土の下で腐るよりキツネに食べられてしまったほうがいいかもしれない、と思いました。

でも、明日までまだ時間があったので、シマリスは、また倒れた木や朽ちた木の下をのぞいたり、木の洞や地面の穴の中をのぞき込んだりしながら、木から木へ茂みから茂みへと、もっともっと遠くへ飛び移っていきました。

そして、クロテンに会いました。

「クロテンさん、クロテンさん!あなたはひとりぼっちで退屈じゃありませんか。ぼくと友達になりませんか。」

「いや、シマリスくん、わしは退屈じゃないよ。でも、お前はきっと退屈で死んでしまうだろう。だから、明日またわしのところに来るがよかろう。そうしたら、わしがお前を食べてやろう。」とクロテンは答えました。

シマリスは、なるほど死んで土の下で腐るよりキツネに食べられてしまったほうがいいかもしれない、と思いました。

でも、明日までまだ時間があったので、シマリスは、また倒れた木や朽ちた木の下をのぞいたり、木の洞や地面の穴の中をのぞき込んだりしながら、木から木へ茂みから茂みへと、もっともっともっと遠くへ飛び移っていきました。

そして、クマに会いました。クマは松の茂みの日陰で寝ていました。シマリスは、クマの耳をひっつかんで引っ張りました。そして、やっと目覚ましたクマは不機嫌に「何をするんだ!」とほえました。

「クマさん、クマさん!あなたはひとりぼっちで退屈じゃありませんか。ぼくと友達になりませんか。」

と、シマリスはクマに聞きました。クマは、のろのろと頭をあげてあくびしました。そして、シマリスを見ないで、

「何のために友達にならなきゃならないんだよ。」と、けだるそうに聞き返しました。

クマはおなかいっぱい木の実を食べて、ごろりとまた寝転んでしまいました。シマリスが集めた木の実はもう少ししか残っていません。だから、シマリスは大事に少しずつ木の実を食べることにしました。春まで少しずつ食べられるように。木の実を1つ食べたら巣穴の出口の霜をなめました。そうすると、おなかがいっぱいになったような気がしたのです。だから、シマリスは自分がどんなにやせてしまったか気がつきませんでした。そうして、シマリスはかろうじて春まで生き延びることができました。雪どけが始まったころ、クマが目を覚ましました。思いきり手足を伸ばして、

「やったぞ、シマリス!俺たちは冬を越すことができたぞ。」と、言って、

「えらいぞ!」と、シマリスをほめました。そして、するどい爪の前足でシマリスの背中をなでました。すると、シマリスの背中に5本の傷の線ができて、血が出ました。こうして、シマリスの黄色い背中には、クマとの友情の証として5本の黒い線が一生残ったのです。

でも、シマリスはクマといっしょに暮らすことをやめてしまいました。またひとりぼっちになってしまいました。

今年、私はそのシマリスに会いました。森のはずれを歩いていたときに、茂みの枝の上にいるシマリスを見つけたのです。すると、シマリスは私の方を向いて言いました。

「トゥット… トゥット… トゥット…(ここだよ…ここだよ…ここだよ)」

シマリスは、誰かと友達になりたかったのでしょう。

だから、「ぼくはここにいるよ。」と、私に言ったのでしょう。

「だって、いっしょの方がいいじゃないですか。あなたは大きいけどのろのろしているでしょ。反対に、僕は小さいけど機敏に動けます。だから、あなたが寝ている間、危ないことがないようにぼくが木の上からあなたを見守ってあげます。」とシマリスは答えました。

「でも、おれは怖いものなんてないよ。」とクマは言いました。

「それならいっしょに木の実を取りましょう。」

クマはシマリスを見て言いました。「木の実だって…?」

「ええ、木の実です。イチゴもいっしょに摘みましょう。」

「イチゴだって…?」

「ええ、イチゴです。アリもいっしょに取りましょう。」

「アリもだって…?」とクマはすっかり目を覚ましました。そして、起き上がって座りました。

「木の実も、イチゴも、アリもだって…?」

「ええ、木の実も、イチゴも、アリもです…」

「よし、おれはお前と友達になろう!」と、クマは満足して答えました。

こうして、シマリスは友達を見つけることができました。大きくて強い友達です。こんな自慢できる友達がいる動物は、森の中どこをさがしたってシマリスのほかにいません。

ある日、シマリスはヤマイタチに会いました。

「ああ、やっと来たんだね!今日こそ、ぼくがきみを食べてあげるよ!」と、ヤマイタチはよろこんで言いました。

「ぼく、クマさんと友達になったんです。」と、シマリスは言いました。

「クマと⁉」と、ヤマイタチはびっくりしました。

シマリスは、ぴょんぴょん跳んでもっと遠くへ行きました。そして、キツネに会いました。

「あら、待っていたわよ。今日こそ、私があなたを食べてあげるわ!」と、キツネはよろこんで言いました。

「ぼくはクマさんと友達になったんです。」と、シマリスは言いました。

「クマと⁉」と、キツネは息をのみました。

シマリスは、ぴょんぴょん跳んでもっと遠くへ行きました。そして、クロテンに会いました。

「ああ、待ちわびたぞ。今日こそ、わしがお前を食べてやろう!」と、クロテンはよろこんで言いました。

「ぼくはクマさんと友達になったんです。」と、シマリスは言いました。

クロテンは、木に飛び上がるほど驚きました。

「クマと⁉」と、クロテンは木の上からたずねました。

それから、シマリスとクマはいっしょです。足の速いシマリスは、イチゴがたくさん採れる場所や松の実がたくさんついた松の茂みを上手に見つけることができます。クマは、こんな友達ができてうれしくてたまりません。

そうしてしばらくすると、動くのが難しくなるほど、クマはでっぷり太ってしまいました。それで、クマはたいてい寝ていました。

あるときは「おい、シマリス!コケモモ、持って来い!」、あるときは「おい、シマリス!おれの背中をかいてくれ!」と、命令するようになりました。

そして、秋が来ました。もうすぐ、長くて寒い冬がきます。

「ねえ、クマさん、もうすぐ冬が来ますよ!私たちは、冬にそなえて食べ物をたくわえなければなりませんね」と、シマリスは心配そうに言いました。

「そうだな、シマリス。食べ物のとりに行って来い!」と、クマはけだるそうに答えました。でも、自分は横になったままでした。

「ぼくひとりでは、どうがんばってもたくさんの木の実やイチゴをたくわえることなんてできませんよ。だって、あなたは食いしん坊なんですから。」と、シマリスは泣きそうです。

「生意気を言うな!食べ物をとりに行け!」と、クマは腹を立てて言いました。

「おれは冬眠のための穴を掘って作る。大きくてあたたかい穴だ。お前の穴とは比べ物にならないほどにな。」

シマリスは、がっかりして木の実を取りにのろのろ行き出しました。すると、空に雪を降らせる黒い雲が急に現れました。シマリスは、木の実が雪におおわれてしまう前に木の実を取りにいかなければならないと思って、茂みから茂みへ急いで跳ねて行きました。

そうして、シマリスは食べ物をたくわえることができました。クマは冬眠の穴の中に入ると、前足の上に頭をのせて寝てしまいました。クマは1か月か2か月寝ていたでしょうか。ある日、クマが目を覚まして、シマリスに言いました。

「木の実を出してくれ!」