エヴェンキ族の女性と邪悪なチャンギット族

エヴェンキ族の女性と邪悪なチャンギット族

むかしむかし、エヴェンキ族の村に猟人が家族と一緒に住んでいました。彼には若い妻と小さな子がいました。その家族は、森の中の大きな川の川岸に住んでいました。ある日の夕方、夫が狩りから帰ってきたので、妻は彼に食事をさせて、子供を寝かせました。妻は、オロチという夏の平らな靴の中敷きにする草をとりに行きました。彼女が暗闇の中で草をとっていた時、不意に誰かに髪を引っ張られました。誰かが隠れたような気がしました。ということは、誰かが悪いことをしようとしているということです。

「ああ、ここの草は固いねえ。他のところに探しに行くわ。」と、彼女は言いました。

そして、家に走って帰って、夫に何があったか話しました。

「隠れていたのは、チャンギットたちだろう。わたしたちが眠り込むのを待って、襲うつもりかもしれないね。どうしようか。」

そういうと、妻は子供を起こしたので、子供は泣き出してしまいました。

「ああ、この子、やけどをしてしまったわ。小舟のところに急いで行って。あそこにはトナカイの血があるのよ。持って来て。」と、妻は夫に大声で言いました。

そして同時に、妻は移動式の家を分解したり、身の回りの物を袋に詰めたりしました。子供はまだ泣いています。夫は、身の回りの品を全部川岸に運びだして、小舟に乗せました。そして、「トナカイの血などないよ。お前が自分で探しに来なさい。」と、妻に大声で言いました。

妻は子供を抱いて小舟のところへ走ってきました。そして、家族は小舟に乗って川に出ました。岸を遠く離れてから、「チャンギットたち、わたしたちはうまくお前たちをだませたわ。どんなに探しても、わたしたちは見からないわよ。」と、妻は言って、大声で歌を歌い出しました。

チャンギットたちは怒って、川の方へ弓を放ちましたが、夜の闇で見えません。こうして、チャンギットたちをだまし、エヴェンキ人たちは逃げることができました。

タイガには、エヴェンキ人たちほど、強くて賢い人はいないとは、よくも言ったものです。