白いトナカイが積み込まれた小舟と黒い トナカイが積み込まれた小舟

白いトナカイが積み込まれた小舟と黒い トナカイが積み込まれた小舟

それは、むかしむかしのことでした。ある日、海岸の大きい村の男たちが大きな船に乗って、海へ狩りに出かけました。獲物がなかったので、どんどん沖へ出て行きました。日が沈んで、海面に霧が立つほど、遠くに行っていました。そして、夜になりました。彼らは迷ってしまったようです。日が昇ると、遠くに海岸が見えました。近くて行ってみると、岸辺に家がありました。女たちが川へ水をくみに行ったのが見えました。男たちはもう喉がかわいてたまらなかったので、ひとりが「おれがどういう人が住んでいるか見に行って、ついでに水をもらってくるよ。」と、言いました。

そう言って岸辺の家に行ったのですが、なかなかもどってきません。海岸には誰も見えません。二人目の男が水をもらいに行きました。その男ももどってきませんでした。だから、男たちは先へ船を進めることにしました。船を進めながら海岸をじっと見ていました。すると、突然、家が見えて、犬が吠えているのや魚が干してあるのが見えました。でも、人はひとりも見えませんでした。それでも、二人の男が水を探しに岸辺に行くことにしました。家に入りましたが、もどってきません。そして、五人目の男が「これ以上待てないよ、喉がすごくかわいているんだ。」と言いました。

水を飲もうと、体を曲げて船の端から体を乗り出しましたが、海に落ちてしまいました。六人目の男が助けようと水に飛び込みましたが、おばけが海中から急に出てきて、その男を海に沈めて、骨ばった手で船につかまって、ひっくり返そうとしました。船に残っていた男たちは斧を取っておばけの手を切り落としました。そして、男たちは急いでそこから船を進めました。

ずっと先まで船を進めると、また海岸が見えました。そこにはおじいさんとおばあさんがいました。

「岸に上がりなさい!何もこわがることはないよ。」と、おじいさんは大声で言いました。

男たちは岸に上がって、船を降りました。おじいさんたちは、男たちを自分の家に招き入れ、干物を食べさせてくれて、いい香りの草のお茶を飲ませてくれました。男たちは海に狩りに出かけて、迷ってしまって、何人も男がいなくなったり死んだりしたことを話しました。

「あんたたちは、ここにやってきてよかったな。向こう側はよその危ない国だ。家に帰る手伝いをしてやろう。」と老人は言いました。

男たちがどのくらいおじいさんたちの家にいたのか誰も知りません。

毎朝、おじいさんはどこかへ行って、夕方になるまで帰ってきませんでした。ずっとだまって、何も話しませんでした。ある日の夕方、舟底にイソツツジの枝が敷いてある二隻の小舟を運んできました。

「さあ、海へ出なさい。しかし、船を進めているあいだは頭を上げてはいけないぞ。女たちがあんたたちを呼んでも、何も聞いてはいけないし、何も答えてもいけない。船の底が砂に触れたら、岸に上がりなさい。白いトナカイを仕留めて、一隻目の小舟に乗せなさい。その後で、黒いトナカイを仕留めて、二隻目の小舟に乗せなさい。イソツツジの枝を敷いて、海の神にいけにえとしてささげなさい。」

男たちはおじいさんにお礼を言って、二隻の小舟を後ろに付けて、船で海へ出ました。どんどん船を進めましたが、絶対、頭を上げませんでした。女たちに呼ばれても、その声を聞かないようにして、答えもしませんでした。しばらくいくと、船の底が砂に触れました。男たちは岸に上がって、白いトナカイを仕留めて、一隻目の小舟に乗せました。その後で、黒いトナカイを仕留めて、二隻目の小舟に乗せました。イソツツジの枝を敷いて、海の神にいけにえとしてささげました。

海の神は、白いトナカイの小舟はすぐに受け入れましたが、黒いトナカイの小舟は海岸のそばで七回ぐるぐる回りましたが、やがて海の神はそれも受け入れました。男たちは船を進め続けました。そうして、故郷の海岸にたどり着くことができました。岸に上がって、少年たちが海岸をかけ回ったり、弓を持ってシマリスを追い回したりしているのが見えました。

男たちは「お前たちの親はどこにいるのだ。」と、少年たちに聞きました。

「母さんは家にいて、父さんはずっと前に海へ狩りに行ったまま帰ってこないんだ。」と、少年たちは答えました。

男たちには、その少年たちが自分の子供たちであることがすぐに分かりました。そして、少年たちに小さな指輪をひとつずつ渡して、「母さんのところへ行って、この小さな指輪を見せなさい。」と、言いました。

少年たちは走ってお母さんのところへ行きましたが、すぐにもどってきました。

「父さん、お帰りなさい!お帰りなさい!」と大声で言いながら。

こうして、男たちは元気に故郷に帰って来たのでした。